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西郷村の農産物直売所 “ぴりりん”

この夏、西郷村(にしごうむら)に新しい農産物直売所ができました。

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西郷村には、企業組合“にしごう村夢プロジェクト”という元気な団体があり、恵まれた地域資源を活かし、村民や避難民の方々への新しい「仕事づくり」もしながら、活気ある“元気にしごう”をPRしていこうと、活動されています。

西郷村の特産である山椒を中心に、農業・食産業・観光業と連携し、西郷村を人々に周知してもらい、村の活性化に繋げたいと、2015年7月25日にオープンしました。

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店内には、地元の方の手作り雑貨や特産品が並びます。

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生鮮野菜や豆腐なども手に入れることができます。

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おすすめを聞いてみました。「ここでしか買えないものってありますか?」

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それがこれ。“丸ごと玉ねぎの山椒醤油漬け”です。

西郷村の山椒と、うまみがぎゅっと詰まった小さな玉ねぎで作った、にしごう村夢プロジェクトのオリジナル商品です。

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さっぱりとした口当たりと、玉ねぎの甘みと、後からくる山椒のピリリとした味が、口の中に広がります。

これだけを買いに行くのもいいかも。食卓であともう一品ほしいときにおすすめです。

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“山椒は小粒でもぴりりと辛い”ということわざのように、この産直“ぴりりん”も、まだ始めたばかりの小さいお店だけれど、良いものがぎゅっと詰まったお店に、どんどん成長してくれることだと思います。

ここまでくればお気づきの方もいるかもしれませんが、店名の“ぴりりん”は、山椒のぴりりが由来なのだとか。

西郷村の山椒、ぜひ一度、お試しください。

 

 

 

写真:稲葉  文:稲葉

データ

農産物直売所“ぴりりん”
〒961-8061 福島県西白河郡西郷村大字小田倉字前山122
営業時間 10:00-18:00
定休日 毎週水曜日
TEL  0248-29-8331  FAX 0248-29-8340
HP yumepro.co.jp/   (企業組合にしごう村夢プロジェクト)
FB  www.facebook.com/nishigo.yumepro/

 

2015-11-27 | Posted in Blog, 直売所紹介 

 

ふぁ~むつばさ ~乳クリエイターのお仕事~

鮫川村に、若い酪農家さんがいると聞き、取材してきました。

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ふぁ~むつばさ 乳クリエイター 清水大翼(しみず だいすけ)さんです。

いただいた名刺に書かれていた肩書きが、“乳(ちち)クリエイター”。

えっ、乳クリエイターって?と聞きたい気持ちは抑えて、

まずは、清水さんのお仕事のご紹介からしましょう。

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酪農を始めてから4年目となる、ふぁ~む つばさ。

仔牛を含めてジャージー牛を27頭ほど飼っています。

清水さんの1日は、こんな流れのようです。

朝5時 起床、搾乳

朝8時 集乳車による牛乳の集乳

午前中 仔牛へ哺乳、牛舎の掃除、エサやり、育成牛の世話

お昼 昼食、少し休憩

夕方 搾乳、哺乳、エサやり

 

清水さんの牛へのまなざしはとても優しく、家族を見るまなざしに近いと感じます。

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清水さんの年齢は、現在、27歳。鮫川村で生まれ育ち、神奈川県の動物応用科学科のある大学に入り、その後2年間、北海道の牧場での研修を経て、鮫川村に戻ってご自身で牧場を立ち上げました。

田舎で生まれ育ち、一度都会に出た人たちがそのまま都会に就職するという流れが多い中、清水さんは、大学時代から、鮫川村に戻るんだと思っていたそうです。

「4年間神奈川県に住んで、住むところではないと思いましたね。僕はおばあちゃんの家が東京にあって、お盆や正月は東京に帰っていたんですよ。だからもとから都会に対する憧れはなくて、ちょっと遊びに行く場所ぐらいに感じていました。大学1年生の頃から、鮫川村に戻ったら何をしようと、意識していましたよ。鮫川村が好きですしね。」

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鮫川村で何をするか。と考えたとき、自分には酪農が合うかなぁと思ったそうです。

そのきっかけは何だったのでしょうか。

「僕が中学3年生の卒業あたりに、『馬を飼わないか』。と、家畜商の人がうちにやってきたんですね。『大きいから飼えない』。と親が言ったんですけど、『じゃあ見るだけでも』。と見に行ったら、『目が合ってしまったから』。と言って、結局馬を飼いだしたんです。また僕が高校に入った春に、家畜商の人が次はジャージー牛を連れてきてしまった。で、また目が合ったと言って、ジャージー牛を飼い始めたんです。それで、その牛が来たときにはすでに妊娠していて、仔牛を産んでしまって、そのまま乳しぼりをするようになった。高校生の頃は、犬の散歩感覚で、牛の搾乳をしていた記憶ですね。」

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大学2年生のときの夏休みの実習で、自分がこれまで“犬の散歩”ぐらいに思っていたことが、きちんとした仕事だったと、初めて認識したそうです。

鮫川村に戻ってから、林だった場所を3年かけて切り開き、牛乳を無事に出荷してから、ようやく1年が立ちました。

ただし今は、福島県酪農組合に出荷しているだけなので、“ふぁ~むつばさ”の牛乳として販売できていないのが現状です。清水さんは将来の展望をこう語ります。

「いつかは、ここでソフトクリームの原料を作って、どこかの施設で売ってもらえるようになりたいです。あと、観光牧場まではいかないけど、牛が外に出て、皆が訪れやすい牧場にしたいと思っています。誰でも来れて、『牛って可愛いな』。『うわっこんなに臭いんだ』。とか、思ってもらいたいですね。」

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牛と訪れた人が触れあえる牧場にしたいという、清水さんの夢。でもそれには、立ちふさがる大きな壁があります。

「本当は放牧したいんですけど、震災の影響でできないんです。」

福島県では現在、酪農で放牧しているところはまだないのだそうです。

その理由は、肉牛の場合はまだ出荷前に肉にして検査して大丈夫だったら出せるけれど、乳牛の場合は、搾乳してからすぐ出荷なので、検査している時間がないからだそうです。だから、未だに放牧することはできないし、福島県外の牧草や、基準がクリアした牧草をあげているとのこと。

「放牧ができないことが、牛にとっても、自分にとっても、ストレスになっていますよね。」

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夏でも、牛たちは外で自由に過ごすことはできず、1日中牛舎の中で干し草を食べて過ごします。

そんな状況であるのにも関わらず、東日本大震災後に、鮫川村に戻ってきた清水さん。

「北海道の皆にも、『状況が悪いだろうし、無理して福島県に戻らなくても、北海道でもこんなに土地が余っているのに。ずっと北海道にいたら』。と言われたんですけど、帰って駄目なら、またどこかで出来るだろう。とりあえず帰ろう。と思って、帰ってきました。幸い、鮫川村は、出荷停止になるほどの被害でもなかったので。」

現状は厳しいかもしれませんが、1日でもはやく、放射能のことを心配せずに、牛たちが外でのびのびと過ごせる日が来ることを願います。

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そして最後に、取材の最初から気になっていたことを質問してみました。

乳クリエイターって、何ですか?

「僕は、仕事でも、仕事以外でも、いろんな人と知り合って、繋がっていくのが好きなんですけど、たまたま知り合った酪農家の方に、“乳クリエイター”と名乗っている人がいて、あ、それ面白いなって。ハイパーメディアクリエイターがあるように、クリエイターって、何でもいいじゃないですか。」

と、さわやかな笑顔と共に、そんな返事が返ってきました。

 

心から牛を愛していて、心から仕事を好きで、心から今後のことを楽しみにしている。

そんな前向きで明るい清水さんと、牛たちの取材ができました。

 

いつか、牛たちがのびのびと外で過ごす牧場となった“ふぁ~むつばさ”に遊びに行ける日を、楽しみにしています。

 

 

写真:青砥、稲葉  文:稲葉

 

 

データ

ふぁ~む つばさ
〒963-8403 福島県東白川郡鮫川村葉貫13-2
TEL  0247-49-3344  FAX 0247-49-3366
HP  www.facebook.com/daisuke.s.0127/

 

 

2015-11-05 | Posted in Blog, 生産者紹介 

 

でんぱた ~農業が残る道を考える~

農業が残る道。そのひとつが、農業を法人化すること。

“農業法人”は今ではもう珍しくないかもしれませんが、
それは、農業法人が農業が生き残る道だと信じて頑張ってくださった方がいたからだと
気づかされた取材になりました。

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今回取材に行ったのが、東白川郡矢祭町にある、“農業法人でんぱた”です。

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農業に対する熱い思いを語ってくださった、でんぱた代表の鈴木正美さん。

以前は農協の職員として勤めておられたそうですが、矢祭町にひとつだけあった農協が、
他の町と合併するという流れになった頃、仕事を辞め、2001年に農業法人を立ち上げられました。

なぜ農協の合併がその行動へと繋がったのでしょうか。

「農協というのは、その地域ごとにあった活動をするべきなのに、合併をして、組合の顔もわからないところで挨拶するっていうのが考えられなかったんですね。この地域に合った仕事がしたいんだと。それで、これからのことを考えた時に、高齢化もしているし、人口も減ってきているし、経済的にも個人の農家で立ち行かないし。と感じていて、農業の残る道がひとつあるとしたら、法人化かなと、思っていたんです。それが、僕がこの会社を立ち上げたひとつの理由なんですよ。」

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それから何年か後に、矢祭町内の農業法人化が次々と進んでいったそうです。

「矢祭町は、関東圏との県境の町なので、関東に学びに行ったり働きに行ったりと、生活圏が関東の人が多いことから、他とは自立心がちょっと違うのが理由のひとつかな。僕のところは米受託販売をやっていて、近所には、大規模なイチゴ生産や、鉢花の生産グループなど先進的な農業経営をやっているところがあります。この町の一戸当たり規模面積や戸数からいって、法人化率は高いと思いますよ。」

今の時代でこそ農業法人に対する理解はありますが、当時は反対意見も多かったですし、
奥さんにも怒られたね。と、苦笑いを浮かべる鈴木さん。そこまでしてやりたかったこととは?

「僕が法人化してとにかくやりたかったことは、地域の小規模農家さんが作る農産物を売ること。自分で生産出荷するというのが農業法人の姿なんだけど、僕は売ろうと思ったんです。農協があまり手を出していない分野をやろうと。まずは、お米を、消費者団体である市民生協に売ろうと思いました。生協は取引審査がすごく厳しいんですよ。生産地を見に来て、生産者と話をして、生産履歴の審査をして、その商品基準をきちんと確認して。だから、そこに白米を扱ってもらうために、足繁く通いましたね。」

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市民生協が決まったあと、鈴木さんが次に狙ったのは中堅スーパーでした。

「矢祭町・塙町・棚倉町にはそれぞれ、地元の人が通う“リオンドール”というスーパーがあります。僕は東白川郡を販売基盤にしたかったので、大手スーパーよりも地元のスーパーを選びました。ただこれがなかなか大変だった。リオンドールのような小型スーパーは、卸業者から納入するのが基本。生産農家が『ものを卸します』って、直接来ると思ってもいなかったんじゃないかな。しかも一番最初に言ったのが、コーナーの一角じゃなくて、『リオンドールの中に、野菜の直売コーナーを作らせてください』って。矢祭店に直売コーナーを置けるようになるまで、1年半通いましたね。」

それからは逆にスーパー側から声を掛けられ、塙店、棚倉店、浅川店にも置くようになりました。

「ちょうどその頃、農協が作る直売所が流行りだしていたんですね。で、スーパーの中にも直売コーナーのようなものがないと、これからの時代置いていかれると、リオンドールに伝えました。もしスーパーに直売コーナーというのがあれば、スーパーと直売所を往復する人は、スーパーだけで全部事足りるわけですよ、そういう利便性を訴えて、ようやく作ってもらえましたね。」

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その後も福島県内のデパートに交渉したり、東京での出張販売“矢祭もったいない市場”を
開催したり、産品開発を行ったりと、上手くまわり始めた頃、東日本大震災が起こりました。

「せっかく10年以上かけて取引先を作ったんですけど、いっぺんになくなりましたね。あるこども園の給食に、矢祭米を入れてもらっていたんですね。そしたら震災後、保護者が『なんで福島の米使うの』って騒いで。そこの園長先生は、『矢祭町は基準をクリアしているから大丈夫ですよ』って言ったんだけど、先生が保護者の対応に大変だったので、『先生、いいですよ』って、こちらからお断りをしました。」

自分で作ったお米も、仲間から預かったお米も、売れなくなってしまったのです。

「売れないものをどうしよう。原料で売るのが駄目だったら、商品化してはどうだろう。加工することによって賞味期限が延ばせるものだったらどうだろう。と、考えていきましたね。チャレンジするしかないですもんね。」

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矢祭米と、矢祭産のゆずや、ブルーベリーで作った‟米菓”。

ご年配の方にも食べやすい固さに仕上げられた“矢祭米せんべい”。

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矢祭のブルーベリー園で手摘みされたものでつくった、“ブルーベリージャム”や、
“ブルーベリージェラート”など。震災後はとくに本腰をいれて、商品化をすすめてきました。

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ちなみにこれらの商品は、楽楽「らくおう」店舗で購入することもできますので、ぜひ。

 

このように、営農者が主体となって、単に農作物を栽培するだけでなく、その作物から付加価値をつけた商品を開発したり、観光に結びつけたりすることを、6次産業化といいます。

でんぱたはまさに、6次産業化の先駆者ともいえると思います。

 

そのひとつに、“やまつーりずむ”と名付けたグリーンツーリズムをしています。

グリーンツーリズムとは、簡単にいうと農業田舎体験。物見遊山型の観光ではなく、
都会の人が農山村に滞在し、自然や文化を体験する旅の形のことをいいます。

 

「公募して集めたことはないんです。自分が販売活動先でお会いした方の中に、『矢祭行ってみたいな』という人があれば、その人にあったプログラムを組むんです。こっちがプログラムを組んで、それをぎっちり体験させて、どっと疲れさせて帰すんじゃなくて、その人が矢祭で何をしたいのかを感じ取って、その人に一番最適だと思う内容に僕が仕上げる。だからこっちから公募したこともないし、今まできてた人たちが去って行ったこともなくて、毎年来てくれます。」

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「ある家族は、6月〜9月で大体月1は来ます。だからほんとに親戚が帰ってきたみたいな感じで、非常に面白いですよ。」

ツーリズムの内容は、農薬を使わない田んぼで、手による田植え、草刈り、稲刈り、脱穀体験だけではなく、耕作放棄地を耕して梅園を作ったり、東屋を建てたりと、バリエーション豊かに皆さんそれぞれ体験されています。

東京から一番近い東北地方、矢祭町を、みなさん自分の田舎のように思っているのでしょう。

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「つくづく販売というのは、仲間づくりだと思いますね。結局グリーンツーリズムに来てくれた人たちが広告塔となって、僕たちのことを広めてくれる。野菜も農産物も商品も、それは人が生きていく中の、ほんの一部のツールでしかないと思っています。一番大事だと思うのは、その品物の向こうにいる人なんですよね。」

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《上記写真は、産学官連携事業の「精密農業」に取り組む様子》

 

「今日お会いしている人が大切です。まぁでもその代わり、物に絶対的な責任は持たないといけませんが。人のつながりが生きてくるのは、商品力があってこそですから。」

物を売る一番の早道は、見せびらかして売るのではなく、話とか時間を共有した人との信頼関係をつくること。

そう力強くお話してくださった鈴木さん。

その姿勢がこれからも、たくさんの人を元気にしていくんだろうと思います。

これからどんな新たな商品ができてくるのか、楽しみですね。

 

 

 

写真: 稲葉、提供写真  文 : 稲葉

 

 

データ

農業法人 有限会社でんぱた
〒963-5118 福島県東白川郡矢祭町大字東舘字蔵屋敷12-1
TEL  0247-46-2571
HP  www.denpata.com/

2015-10-20 | Posted in Blog, 生産者紹介 

 

手まめ館

東白川郡鮫川村。山と田園風景が広がる地域の人たちが立ち寄る、元気な場所。

それは、直売所、食堂、カフェが隣り合わせにある、‟手まめ館”という場所です。

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見やすい位置にわかりやすく並べられた、鮫川村の生鮮野菜。

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野菜にはそれぞれ、誰が作ったのかがわかりやすいよう、

生産者のイラスト付き紹介されています。

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壁に掲示された、生産者一覧写真を見てびっくり。

人口約3500人の鮫川村に、こんなにたくさんの元気な生産者たちがいるなんて。

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鮫川村の一押しは、店名の由来でもある、豆。鮫川村の大豆です。

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大豆を使って、醤油・味噌・豆腐・きな粉などの加工品の製造・販売をしようと建てられたのが、

この手まめ館。地元の学生たちも豆腐作りの見学をしたり、実習に来たり、

買い物に来る大人たちだけでなく、子どもたちにとっても貴重な経験の場となっているようです。

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ここの大豆で作られた豆腐は、お隣りの食堂で食べることもできます。

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この日のメニューは、「豚丼」「豚の辛味定食」「けんちんうどん」で、お値段はどれも500円。

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なんでこんなに安いの?と驚くほど、量もお味も大満足。

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そしてそのまた隣には、手まめcafeがあります。

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天井の高い広々とした空間には、珈琲の香りと、パンを焼く香りと、スイーツの甘い香りが。

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1人でのんびり珈琲を飲みに来たお客様。お友達とお喋りをしに来たお客様。

地元の方が、ちょっと立ち寄るのに利用されているのがよくわかります。

 

今回は簡単なご紹介ブログとなりましたが、鮫川村に行く際はぜひ、立ち寄ってみて下さい。

補足として。

個人的に、直売所でおからを無料で頂けるサービスがとても気に入っていて、私が手まめ館に

行った次の日は、頂いたおからで、おからドーナツ作りをするのが習慣となっております。

写真:青砥、稲葉   文:稲葉

 

データ
手まめ館
〒963-8401福島県東白川郡鮫川村赤坂中野巡ヶ作116
TEL  0247-49-2556
HP www.samegawa-temamekan.com/
営業時間 直売所9:00-18:00 食堂11:00-14:00 カフェ10:00-18:00
定休日 直売所・食堂 毎月第1水曜、1月1-2日 カフェ 毎週水・木曜、1月1-3日

2015-09-20 | Posted in Blog, 直売所紹介 

 

こころん ~想像力でつながる~

“こころん”で、実際に働いている人たちのもとへも取材してきました。
農業、製造、カフェ、販売、それぞれの分野でたくさんの笑顔に出会ったので、ご紹介します。

①有機栽培で野菜をつくる“こころんファーム”

まずは、畑へお伺いしました。時間はお昼前。炎天下で、草刈り作業の真っ最中でした。

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お話をお伺いしたのは、写真撮影をお願いすると、「じゃあ…俺の胸に飛び込んで来いという
イメージで。」と、ノリ良くポーズを決めてくれた、関根考通(せきね たかみち)さん。

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5年前からここで働いているという関根さんは、ご自身も心が折れてしまった経験が
あるそうですが、そんな過去も明るく振り返り、こう伝えてくれました。

「精神的に辛いときは、どんどん孤独になっていくものなんです。
でも、必ず誰かがいる。自分に合った仕事がある。そう思えると、心の励みになる。
だからここで働いている人は、みんな生き生きとやっていますよ。」

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関根さんは、ご自身の立場を「あえていうなら、農業ソーシャルワーカーかなぁ。」と言います。
病院や自宅ではなく、畑という舞台で、農業を通じて支援をする。

「畑には、想像力があるんです。種を蒔くと、芽が出る。芽が出ると、茎が伸びて葉が生え
花が咲く。そして、その先に実が成ることを想像するんです。」

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一時的な快楽は、一瞬で消えてしまいます。
目の前のことをやっても、そこで終わりと思ってしまえば、そこで終わり。
でもそれが何かに繋がっていくという想像力を持つことができたなら、
目の前のことが、色鮮やかに見えるようになる。そんなことを教えてくれました。

さて、畑で出来た野菜たちは、出荷作業に繋がります。

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一つ一つが丁寧に人の手によって包装され、それがまた繋がって、店頭へと並ぶのです。

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ここで働く人たちも、写真を向けるとポーズを決めてくださり、この場所のことを聞くと、
「自分の意見を尊重してくれて、働きやすい。」「チームワークが良くて、心が癒される場所。」
「みんなで作業する時間が楽しい。」と、こちらまで嬉しくなる答えが返ってきました。

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②お菓子の製造工場“こころん工房”

清潔に保たれた厨房の中で、みんなのアイディアで次々と商品の生まれるこの工房。

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チーズケーキ、パウンドケーキ、クッキー、プリン、饅頭などが作られています。

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その中でも目が留まったのは、クマの爪のようなクッキー。と思ったら、カピバラの手でした。
これも素敵な想像力ですね。

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③直売所兼カフェの“直売・カフェ こころや”

直売所の棚には、こころんファームの野菜はもちろん、地元農家のものや、添加物を使わない福島県南地域のもの、生産者の顔が見える“安心・安全・新鮮”なもの。といった品々が並びます。

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選び抜かれた良いものが並ぶ棚を見ていると、
「ここに売っているものなら信頼できる」という安心感が得られます。

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実際、取材中も絶えず地元の方が入ってきては新鮮な野菜を購入して帰っていく姿を見て、
この直売所は、働く人たちにとっても、地元の人たちにとっても、
今やなくてはならない存在になっているんだなと、感じました。

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さて、最後は、直売所の隣にあるカフェ。

1日3食の食事がきちんと食べることを大切にされなくなり、
それによって生活習慣病やストレス障害を抱える人が増えている現代。
もう一度、食を見直してほしいという想いで、心にも体にも優しい食事を提供しています。

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お昼どきには、“気まぐれランチ” ‟グリーンカレー” ‟ドライカレー” などが楽しめ、
サラダバイキング付きなのが嬉しいところ。

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私もグリーンカレーをいただきましたが、辛さ控えめのとても優しい味でした。
沿え野菜も、特別な味付けがなくても、それぞれの野菜の味がして、美味しかったです。

記事を読んでいただいたみなさんにも、ぜひ立ち寄ってほしい場所です。

取材中、学びが多く、みなさんにお話を聞けて良かったなぁと、純粋に思いました。
ありがとうございました。

写真:青砥、稲葉   文:稲葉

 

データ
社会福祉法人 こころん
〒969-0101 福島県西白河郡泉崎村下根岸9
TEL 0248-54-1115
FAX 0248-53-3063
E-mail izumizaki@cocoron.or.jp
HP www.cocoron.or.jp/

直売・カフェ こころや
〒969-0100 福島県西白河郡泉崎村川畑37-1
TEL 0248-53-5568
FAX 0248-21-8553
E-mail cocoroya@cocoron.or.jp
HP www.cocoron.or.jp/

2015-09-08 | Posted in Blog, 生産者紹介 

 

こころん ~社会を変革するには~

社会福祉法人“こころん”へ、取材に行ってきました。

“社会福祉法人”と聞くと、なんだか堅苦しい雰囲気をイメージしていましたが、全く違いました。
“精神障がい者の就労支援”と聞くと、暗い雰囲気をイメージしていましたが、全く違いました。

この日の取材後の感想は、「真っ直ぐで、心の綺麗な人とたくさん出会えたな。」ということ。
取材前のイメージを180度覆させられて帰ってきました。

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“こころん”は、主に精神障がいを持つ方々が、住み慣れた地域で就労を実現できるよう、
地域資源を活かしたシステムで、誰もが安心して暮らせる地域社会を目指して活動されています。

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お話をお伺いしたのは、“こころん”常務理事施設長の、熊田芳江(くまだ よしえ)さん。

もともとソーシャルワーカーとして、地域生活を支援する仕事をされていましたが、
精神障がい者たちの働く場が少ない現状を目の当たりにし、
「社会を変革していきたい」と、平成14年にNPO法人を立ち上げました。
(平成23年に社会福祉法人に移行)

「精神障がい者って、働く能力が高くて、本人たちも働きたいと思っているんですよ。でも、働く場所がない。だから、働く場を作ろうと思ったんです。それから、何をやろう。って考えました。この地域にはこれといった特産品はない。でも、地元の農家さんの、美味しいものを届けることならできるかなって。私たちは主婦を長くやってるから、そういうものを見る目はあるので。」

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そうして現在、“こころん”では、直売所兼カフェの“直売・カフェ こころや”、お菓子の製造や製品工場“こころん工房”、有機栽培で野菜をつくる“こころんファーム”など、幅広い事業を行っています。

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「就労者は今、60人ぐらいいます。
長い期間入院していた人でも、休まずにここで働くことが出来ているんですよ。」

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熊田さんに言われて驚いたのですが、カフェの厨房で働いている方が、ほぼ利用者の方でした。
みなさんテキパキと働いていて、私たちと何が違うんだろうと、不思議に思ってしまうほどです。

「心が純粋な人が多いだけなんだと思います。みんな普通に働けるんだけど、
ただ、社会に対する恐怖心が強い。でもそれは、受け入れ側のちょっとした理解で、解決できる。
生まれた誤解はお互いの話し合いで解決できるものなんです。」

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話をお伺いしていて、特になるほどなと思ったのが、農業と福祉の関係についてでした。

現在、福祉施設の中で、農業をやっているところが増えているんだそうです。
相性がいいのだとか。でもそれは、なぜなのでしょうか。

「彼らは自然に近い状態の人じゃないでしょうか。複雑に物事を考えなくて、シンプルなんです。
自然にはいろんな言い訳が通じないじゃないですか。ありのままの姿というか。
その点の相性がいいんでしょうね。」

それは、今まさに、現代社会に足りていないことのように思います。
お金や、地位や、権力や、立場なんかに振り回されず、もっとシンプルに物事を考える。
それこそが一番大切なことで、ここで働いている人たちは、それを知っているのです。

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「社会自体は、良い方向に動いてきています。精神障がい者を薬漬けにし、隔離していた
ひと昔前から、現在は理解が進み、ひとりひとりの生き方や権利が尊重されてきています。」

あとは、私たちが偏見をなくし、普通に、個人の個性として受け入れることが大切なのでしょう。

「普通でいいんですよ。例えば、子どもや高齢の方と接する時と同じ。
障がいのありなしに関わらず、それぞれに個性があって、ひとりひとり違うんですから。」

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「彼らから学ぶことも多いですよ。誤魔化せないというか。『ここだけの話ね。』ができない。
ここだけの話をすると、必ず、伝わってしまう。隠し事は絶対にできないんですよ。」

「社会を変革していくには、すべてをオープンにすることが大切」だと、熊田さんは考えます。

だから、“こころん”が精神障がい者のための施設であることをオープンに伝えているし、
だからといって、障がい者扱いしてほしいと求めているわけではなく、
カフェメニューや野菜や製菓の値段は、対等な価格で、普通に、販売されています。

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その考え方に共感したので、取材内容を包み隠さずそのままに、ここに記しています。

さて、次回は“こころん”で働いている方たちにスポットを当ててみましょう。

 

写真:青砥、稲葉   文:稲葉

 

データ
社会福祉法人 こころん
〒969-0101 福島県西白河郡泉崎村下根岸9
TEL 0248-54-1115
FAX 0248-53-3063
E-mail izumizaki@cocoron.or.jp
HP www.cocoron.or.jp/

直売・カフェ こころや
〒969-0100 福島県西白河郡泉崎村川畑37-1
TEL 0248-53-5568
FAX 0248-21-8553
E-mail cocoroya@cocoron.or.jp
HP www.cocoron.or.jp/

2015-09-07 | Posted in Blog, 生産者紹介 

 

東京都心でふくしまを食べる!―出張らくおう

東京文京区にある変なオフィス、”我楽田工房”でイベントをしてきました!

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我楽田工房は文京区にあるIT企業、Bono incさんのオフィスです。

しかし、ご覧の通り壁に季節感あるmtテープアートがあったり、居心地のよさそうなソファがあったり…なにやら様子がおかしいような…

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そもそもオフィスで一番目立つのが、我楽田工房自慢の木のキッチン。変だ!変なオフィスだ!

変なオフィスである理由はこちらの記事を参照いただくことにしますが、何をかくそうこのキッチンは“コミュニティ・キッチン”。

社員も、そうでない人も、地方の人も、東京の人も、みんなで集まってみんなで料理をする、コミュニケーションの中心になるキッチンなのです。

今回、このコミュニティ・キッチンを体験するイベントに、楽楽「らくおう」が県南地域の旬の食材と加工品を提供して、参加者のみなさんに県南地域の食の魅力を堪能していただきました。

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矢吹町のお酒から西郷のセロリ、白河市のカボチャにモモ、矢祭町のブルーベリーまで、ありとらゆる旬のものと、

いつも楽楽「らくおう」で買える白河高原清流豚の肉みそや、でんぱたさんのおせんべい、増子椎茸園のごぼう茶など、6次化産品を合わせて運びこみました。

 

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まずは前菜。白河のにんじんときゅうり、西郷のセロリでつくる野菜スティックに、泉崎のミニトマト。それらを鮫川村のえごまドレッシング、白河市大信の肉みそで楽しみます。

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お次は福島県南夏野菜のラタトウィユ!西白河の完熟トマトに、表郷のズッキーニ・ナスや中島のタマネギをくたくたに煮込みました。IMG_8354.3.2そして本日のメインディッシュ…

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白河高原清流豚のローストポークです。

西郷セロリと表郷パセリで香りをつけ、矢祭町産のブルーベリージャムでソースをつくりました。

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デザートは白河のカボチャで作る冷製スープと、

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白河のももでした!

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県南地域を味わっていただいたみなさんとパチリ。

我楽田工房さんの協力もあって、県南地域の食の魅力を直接楽しんでいただくことができました。

みなさん、今度は実際にふくしまの地で、みなさんをお待ちしております!

また、楽楽「らくおう」、積極的にお呼ばれすれば県南地域の食のPRに伺わせていただきます。

お気軽にお問い合わせください!

写真:青砥、Bono inc.澤  文:青砥

2015-08-30 | Posted in Blog 

 

梨本あぶらや ~油ができるまで~

菜種油、ごま油、オリーブ油、大豆油、綿実油、ひまわり油、米油。

炒め物、揚げ物はもちろん、サラダや、ちょっとした和え物にも使われる油。

様々な種類があり、どの台所にもある身近なものですが、

どのように製造されるのか、皆さんはご存知でしょうか。

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今回は、梨本あぶらやさんにお教えいただいた製油法を、ご紹介します。

 

①材料(菜種、胡麻など)をふるいで選別

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②焙煎

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「薪で焚く焙煎機で、手で掴んで熱いと感じるぐらいまで焙煎します。

焙煎することによって、油が搾りやすくなり、香りづけにもなります。

この焙煎の度合いによって、青くさくなったり、ナッツのような香りなったり。」

 

 

③搾油

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ここで出来た油粕は、肥料として、菜の花畑にもどっていきます。

 

④澱の沈殿

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夏場は3日ほど、冬場は1週間ほど置き、澱を沈澱させます。

 

⑤上澄みを掬って濾過する

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沈澱した後の上澄みに少し熱を加え、適温にすることによって、水分を飛ばし、味を整えます。

 

 

大量生産どころになると、焙煎具合、加熱温度などはすべて機械での調整ですが、

梨本あぶらやでは、すべて梨本さんの手作業で行われます。

普段何気なく使っている油とどのように違うのか、ぜひ試してみたいところです。

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日々の料理にとって、油は必須品であり、味の良し悪しを決める重要な役割を担います。

たかが油と思わず、作り手を知り、作られ方を知り、購入していきたいものです。

 

 

 

写真:青砥、梨本さん提供   文章:稲葉

 

 

データ
梨本あぶらや
〒961-0302 福島県白河市東上野出島字谷地前16
TEL・FAX  0248-34-2750
E-mail nashi.aburaya@gmail.com
なたね油販売店舗
・CO・OPベスタ天神町店 (〒961-0954 福島県白河市天神町75)
・えきかふぇSHIRAKAWA (〒961-0074 白河市郭内222)
・自然食品とみや (〒963-8851 郡山市開成2-4-15)

2015-07-31 | Posted in Blog, 生産者紹介 

 

梨本あぶらや ~村の小さな油やさん~

「後ろついてきてな。」

そういって走り出した本宮さんの軽トラックを追っていくと、小さな油やさんがありました。

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「梨本あぶらや」

その工場の壁には、親しみのもてる丸みを帯びた字で、そう書かれていました。

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「こんにちは~」

中に入る私たちを出迎えてくれたのは、ちょっぴり香ばしい香りと、梨本さんの素敵な笑顔。

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「梨本あぶらや」の代表者、梨本清太さんです。

壁の文字のような、丸みを帯びた柔らかい笑顔で、思わずこちらも笑顔になってしまいます。

 

前回取材をした野出島地域活性化プロジェクトの本宮さんに、ご紹介いただきました。

(本宮さんの取材記事はこちら→野出島地域活性化プロジェクト

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というのも、梨本さんは、本宮さんはじめ野出島地域の方々と知り合ったのがきっかけで、

2012年、神奈川県から、ご家族で、この地域に移住してこられたそうです。

 

2012年というのは、東日本大震災後のこと。神奈川県から福島県へ移動する決断には、

ご家族の不安や周囲の方からの反対はなかったのでしょうか。

「不安はなかったわけではないですが…私は、震災前からこの土地に遊びに来ていて、

場所や雰囲気を気に入っていました。なにより、人が良かったんです。

本宮さんたちが、『歓迎するからうちおいで』って言ってくれて。」

 

実際、この地区は放射能汚染の比較的少ない地域でした。

「家族みんなで、免疫力の高まる暮らしをしたい。」という想いで、移住を決断されました。

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「梨本あぶらや」は、菜の花の栽培から油の販売までを一貫して行う、村の小さな油やさん。

「年間生産は1000本弱(900ml瓶)と、今はまだ少ないんですけどね。」と

梨本さんは言いますが、丁寧に作っているからこそ、少ししかできなくて当然なのです。

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菜の花は、無農薬で栽培されています。幸い、この地域は気候的に虫が付きにくいのだそうです。

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収穫だけは、コンバインをお持ちの外部の方に委託していますが、

生産量は少なくても、最初から最後まで自分の手で作ることにこだわっています。

そんな貴重な梨本あぶらやのなたね油は、梨本さんへ直接注文いただくか、

白河市内の生協や、白河駅前のえきかふぇ、郡山市の自然食品とみやなどで購入できます。

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ちなみに、前回取材した野出島地域活性化プロジェクトで販売している菜種油も、

梨本さんが搾油されているそうです。

 

さて、気になるのが、油は、一体どのようにしてつくられているのかということ。

梨本さんに教えていただいたので、次回は油の製造について、ご紹介します。

 

 

 

写真:青砥、稲葉 、梨本さん提供写真  文章:稲葉

 

 

データ
梨本あぶらや
〒961-0302 福島県白河市東上野出島字谷地前16
TEL・FAX  0248-34-2750
E-mail nashi.aburaya@gmail.com
なたね油販売店舗
・CO・OPベスタ天神町店 (〒961-0954 福島県白河市天神町75)
・えきかふぇSHIRAKAWA (〒961-0074 白河市郭内222)
・自然食品とみや (〒963-8851 郡山市開成2-4-15)

2015-07-24 | Posted in Blog, 生産者紹介 

 

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