ゆっくり村 相良園 ~塙町のりんご農家~

青空のもとで輝く、真っ赤なりんごたち。

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塙町にあるりんご農園、ゆっくり村 相良園(さがらえん)さんを取材してきました。

私たちがお話を伺ったのは、相良 次彦(つぐひこ)さん。

父親の代から次いで2代目の、りんご農家さんです。

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県南地域には数少ないりんご農家。いつ頃から始められたのでしょうか。

「30年前に父親が始めました。それまではこんにゃく農家だったんですが、こんにゃくの価格の下落がきっかけで。茨城県大子町にりんご園をやっている親戚がいて、じゃありんごを植えてみたらどうか。と。」

次彦さんの記憶の限りでは、当時、目に見える周辺すべてがこんにゃく畑で、りんごを植えているところはなかったといいます。

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りんご畑の大きさは1.4ヘクタールほど。りんごの木は間隔にゆとりを持って植えられていて、現在、750~800本ほどが植えられています。

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大学を卒業してから、東京で、花の卸会社に3年半勤めていた次彦さん。

25歳のときに実家に戻ってきて、りんご園を継ぎました。

りんごの栽培は、「休みがない」といいます。

りんごの花が咲き、実を結ぶ春。ぐんぐん育つ夏。収穫の秋。寒さや雪にじっと耐える冬。

特に忙しいのは、摘果の時期と収穫の時期ですが、冬には剪定を行わなくてはいけません。

剪定には技術力が必要なので、次彦さんとお父さんの2人ですべてを行い、繁忙期に5人ほどのアルバイトをお願いするだけで、あとは基本的に1人で作業をされているそうです。

摘果では、せっかく成った小さなりんごの実の8割が、残った2割のりんごが美味しく大きく育つために落とされるのですが、相良園では、その落とされた小さなりんごの実も、捨てることなく、出荷されています。

「東京で働いていた頃のつながりで、フラワーアレンジメントにするからと、摘果した小さなりんごを卸しています。」

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相良園では、りんごを楽しんでもらえる期間が長くなるようにと、数種類のりんごを植えています。

≪りんごの主な販売期≫

9月 ひめかみ・千秋

10月 秋映・シナノスィート・ジョナゴールド

11月 新世界・サンふじ

12月 サンふじ

相良園の栽培のこだわりは、“葉とらず栽培”であること。多くのりんご農家では、実の周りの葉っぱを落とし、色付きを良くさせます。葉っぱを取り、実に太陽の光をたくさん当てることで、りんごが赤くなるという原理です。

しかし、相良園では葉っぱを落としません。

「見た目よりも味を優先。真っ赤にならなくてもいいから、美味しいりんごを作りたいと思っています。美味しいものを作れば、それを受け取った人たちが、美味しかったよ。また送って~。と、必ずリピーターになってくれるから。」

小さなりんご園ですが、1年間で800~1000件ものりんごが、宅配便で送られていきます。

「息子に送りたい」、「お歳暮に送りたい」。そういった形で、お客さんに利用してもらっているようです。

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市場出荷はされていない相良園さん。どこでりんごが買えるのでしょうか?

「この直売所と、注文と、地元の道の駅だけで売っています。配達も基本的にはしていないです。」

規模拡大をされていない理由を尋ねると、「忙しい時期以外は、基本的にひとりで作業していて忙しいからね。」との答えでしたが、お客さんとの直接のやりとりや、地元を大切にする姿勢と、次彦さんの人柄が、お客さんを呼ぶのかもしれません。

「美味しいものをつくれば、お客さんがついてきてくれます。もし、このりんごを家で食べて、子どもが『美味しい』と言えば、その親はまた必ず買いに来てくれる。自分の子どもが、自分が作ったりんごを食べて『美味しい』と言っている姿を見て、改めてそう思いました。美味しいものをつくるだけ。と。」

今では顧客は280件ほどあり、リピーターさんがどんどん増えてくれているそうです。

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現在順調そうに見えても、福島県下の農家は、必ず越えてきた壁があります。

それは、2011年3月11日以降の、福島原発事故の放射能の影響と、風評被害です。

「震災後は、売り上げは一時的に下がったことは下がりました。原発で離れていった人は、二度と戻ってこないからね。でもこのりんご畑にとってはありがたいことに、放射能汚染量は何も関係ないぐらいだったから、離れていった人の分、新しい人が増えてくれて、3年目からはたいして影響は感じなくなったなぁ。」

むしろ、プラスのきっかけとなったことがあるそうです。

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「正しい情報を伝えるのと、安全だと言うことを伝えるしかない。」という想いで、1年に2回、“ゆっくり村相良園便り”というものを発行するようになりました。

フェイスブックページでも、りんご園の今を、まめに更新されています。

また、蜜入りサンふじのみを使用した、“ゆっくり村のりんごジュース”や、

おばあさんの味、“ゆっくり村の天然醸造みそ”も、販売しています。

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りんごの収穫と発送が終わった冬の間に、天然醸造みそは仕込まれます。

「“地のもの”で作りたいから、塙町産か、矢祭町産の大豆を使っています。」

それまでは次彦さんのおばあさんが自宅で味噌づくりをしていて、近所の人にお渡ししていたのだとか。

「せっかく美味しい味噌なのだから、どうせなら許可を取って、もっとたくさんの人に食べてもらおうと。仕込み用の場所の許可を取り、味噌を寝かせるのは昔から使っている味噌蔵で行っています。」

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取材は売店の前で行ったのですが、軽トラックに乗ったおじさんたちが、入れ替わり立ち代わり、りんごを購入しに来ておられました。

この季節の風物詩として、相良園のりんごが定着しているんだろうなぁと思います。

 

「今後、少し余裕が出てくれば、体験受け入れもしたい。」という次彦さん。

地元の大人たちだけでなく、子供たちのファンも、どんどん増やしていってほしいと思います。

 

りんごは、青森県だけじゃない!  福島県塙町のりんごも、ぜひ、ご賞味ください。

 

 

写真:青砥、稲葉  文:稲葉

データ

ゆっくり村 相良園
〒963-5343 福島県東白川郡塙町植田字蔵ノ作64
TEL ・ FAX  0247-43-0691  携帯 080-5571-0543
HP  www.e-kinomi.com
MAIL  info@e-kinomi.com

 

2015-12-30 | Posted in Blog, 生産者紹介 

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