「肉の秋元」秋元専務インタビューその1   ー無人島では商売はできないー

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白河高原清流豚

白河市大信地区。
この高原地域で、豚の繁殖から加工・販売まで、一貫して豚肉を生産する精肉店があります。
「白河という地域の、あの環境、あの地下水がなければできなかった」
そうおっしゃる秋元さんの、「白河高原清流豚」。
交配、生育、加工、販売、営業にイベントと、休日のない豚肉自社一貫生産に取り組む理由にはなにがあるのでしょうか。

聞き手・青砥和希)
今日は、よろしくお願いします。
さっそくですが、秋元さんのお肉は、どこで食べることができるのですか?

秋元雅幸専務)
白河市大信の秋元本店はもちろん、JAの直売所”り菜あん”でも購入できます。
また、白河市内のホテルやゴルフ場、レストランなどにも卸売りをしています。
居酒屋さんなんかでも、取扱いたい、とおっしゃっていただけることが増えてきています。

青)
なるほど。直売所含めて、白河市周辺でなら食べることができるのですね。
秋元さんの豚肉の一部は、“白河高原清流豚”として販売されています。
”ブランド化”というと、付加価値を付けて、従来よりも高値で販売する、というイメージがあるのですが、清流豚は首都圏では販売しないのですか?

秋)
私たちは卸売業者と関係があるのでその業界の話になりますが、首都圏は流行に敏感な地域です。
ドーナツでも、ポップコーンでも、海外からのものでも積極的に取り入れるし、
ある地域の知られていない食材、まだだれも取り扱っていない食べ物も、発掘しています。
地域ブランドの農作物も、”他にないもの””知られていないもの”を発掘しよう、という目線から取り扱われます。
しかし、それらはかなりの短期間の流行で終わってしまうことが多いと考えています。
松坂牛や神戸牛といった、確立したブランドなどと比べれば、真新しさで売り出した食材が流通する期間は非常に短いんです。
その短い期間のために、経費や手間暇を振り向けるのはいかがかと。

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青)
地元で販売するのであれば、ブランド化する必要はそこまでないのでは、とも思うのですが…

秋)
私たちは、地元でやるからこそ、ブランド化しようと考えました。
コストをかけずにいいものを作ることができるのが、地元の特権だと思うのです。
ブランド化することで、質を向上させて、地元では”地元のいいもの”が安く手に入る、ということを目指しています。
地元のお客様が納得しているから、それを見て、まわりの人が集まる。
そうすれば、地元の人が地元で食べるものを、他の地域の人に自慢できるようになる。
そんな食べ物を目指しています。
生産のキャパシティの問題や流通コストの問題があって首都圏ではなかなか販売をしていないのですが、
首都圏で食べられないのであれば、そのために白河に来てもらえるような食べ物になりたいですね。
そのために来てもらって、ついでに白河を楽しんでもらえればなと。
そうありたい、そうなりたいなあ、と考えています。

青)
でも、こんな値段で大丈夫なんですか?(笑)

秋)
いわゆる多くのブランド豚では、中間業者、物流会社が店頭に至るまでに入るので、マージンが加算されています。
うちの場合は、自社で一貫して販売しているので、マージンなく、安く販売することができます。
(いまはこう答えていますが)これはお客様が知る必要はない情報だと考えているんです。
「なんでブランドなのにこんなに安いの」というお客さんもいらっしゃいます。
中には高い、とおっしゃる方もいるかもしれないし。
値段と味で勝負していますので、(マージンがどう、という情報ではなく)そのまま、価格と味だけ見ていただければいいと思っています。
ですから、いまの店頭の値段と言うのは、必要最低限の経費だけ転嫁しています、という感じです。
わたしも、始めたころはなんでこんな安く売っているんだとも考えました、
どこまで高く売れるか試せばいいとも考えました。
でも、美味しいものを地元で、家庭で使ってもらうためには、できるだけ安く。
いまの代表(社長)の考え方がそうなので、私もだんだんそのような考え方になってきましたね。

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大信地区の高原地帯にある豚舎

青)
卸売業者に、高価格で、大量に買ってもらう、というのが一般的なブランド化を考えれば合理的なようにも思ってしまうのですが…

秋)
はい。そういったオファーもいただくことがあります。
ただ、絶対的な生産量そのものが少なく、多くは断っています。
そちらに卸し過ぎてしまい、大信の秋元本店で売れなくなってしまっては困るので。
この春は、JRのコンビニ・NEWDAYSで清流豚のおにぎりを限定販売させていただいたのですが、予定数より大幅に売れてしまって。こちらの在庫が限界まで来てしまったので早めに終わらせていただきました。

青)
地元にそこまでこだわるのはなぜでしょうか?

秋)
代表(社長)の口癖は昔から、まんじゅうにたとえて。
「まんじゅうを考えろ。」と。
「いくらきれいなまんじゅうでも、中身がすかすかだったら、うまさに通じない。喜んでもらえない、感動にならない。」と。
見た目がもう美しくても、値段がよくても、凄いきれいでオシャレなまんじゅうでも。
食べてみておいしくない、というギャップがあると、成り立たない、感動に繋がらない。
商売、続けていく商い、という点からすれば、まずは地元の人優先でやるのが大切だと考えているんです。
地元のお客様が納得しているから、それを見て、まわりの人が集まると。
無人島では商売は成り立たないですからね。

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肉の秋元の養豚場

青)
本当に地元にこだわって、それでここまで経営して来られたのですね。
(実際、清流豚の卸売先は約90%はしらかわ地域)
経営が成功している、とも言えるのかもしれませんね。

秋)
うちの経営理念が、”現状否定”なのですよね。
現状、地域の人に喜んでもらっているからそれでいいのかというと、そうではないと。
現状、喜んでもらっているけど、もっと肉質をよくしようと努力したり。
質をよくするために、まったく地元から離れて、輸出を検討してみたり。
自分はやっぱり、よさを知って、欲しいと言ってくれるお客さまに応えるのが仕事だと思っているから。
そのために規模を大きくしてみたりすることもあるかもしれませんが、地元の人はずっと大切にしなければと思っています。

なので、輸出とかは興味ありますよね。

青)
輸出!

………秋元さんインタビュー、その2に続きます。
地元にこだわって生産してきた秋元さんが、輸出に興味の本意とは?
肉の秋元インタビューその2―奥州から欧州へ― へつづきます!

インタビュイー
㈲肉の秋元 専務 秋元雅幸さん
白河高原清流豚の育成から販売まで手掛ける白河市大信地区のホープ。
白河市大信の商工会青年部で開発したご当地グルメ“とんぼう”(豚棒)は、県内でも指折りのクオリティ。

インタビュアー
青砥
楽楽「らくおう」のアドバイザー。
写真と珈琲が好き。県南地域でおすすめのカフェは珈琲香坊。今年の目標はボルダリングで自分の壁を超えること。

データ
有限会社 肉の秋元本店
www.nikunoakimoto.jp
〒969-0308
福島県白河市大信増字北田82
TEL 0248-46-2350
FAX 0248-46-2426
アクセス www.nikunoakimoto.jp/access/

2015-06-01 | Posted in Blog, 生産者紹介 

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